長 健二朗 ソニーコンピュータサイエンス研究所 kjc@csl.sony.co.jp 本コラムは、IPv6ジャーナル 2001年夏号に掲載されたものです。 最近、一般のひとにもIPv6という言葉が知られるようになった。 IPv6の話になると、当然IPv4との違いという切口で語られる。 ところが、IPv6はIPv4の本来の設計思想への回帰にほかならない。 インターネットの成功は個々の技術よりも、草の根的な技術の発展と普及を可 能にした設計思想とそれを育てた文化によるところが大きい。 にもかかわらず、技術の普及ほどには、インターネットを支える考え方や文化 が十分伝わっていないのが残念である。 IPv6の考え方の根底には、インターネットの設計思想であるend-to-endの原則がある[1]。 そもそもend-to-endの原則は、通信路上に伝送誤りや故障の可能性がある以上、 エンドシステム間